(日経メディカル2003年2月号より)
花粉シーズンに欠かせないマスク、皆さんは値段でマスクの性能を判断してませんか。
日経メディカルに掲載されていたデーターを見ると意外な事がわかりました。
ここにそこに書かれていた記事を抜粋し、マスクの選び方の基準を示します。
この基準を参考に、花粉症の方はもちろん、花粉症でない人も花粉の多い時期はマスクを選んでください。
この記事のデータは、日赤和歌山医療センターの榎本雅夫先生と奈良県立医科大学の井手武先生のものによります。
榎本先生は、「発売前にマスクの性能評価をすべきだ」と唱えており、井出先生は「患者ごとに最適なマスクは異なっている」といっております。
マスクに求められる性能は、まず第一にできるだけ多くの花粉を吸着することですが、網目を非常に密にしたり素材を分厚くしたりすれば、花粉を吸着できても、呼吸が苦しく、患者さんが嫌がるマスクになってしまいます。呼吸のし易さも兼ね備えるマスクでなければなりません。
マスクにはガーゼタイプと不織布タイプがあります。
下の写真は不織布タイプのほうがきめが細かいのがわかります。除去率も高いはずで、推薦できます。
多層構造のガーゼならその性能に違いはないそうですが、値段は高いそうです。
洗っても花粉が残ることが多いので、使い捨てタイプがお勧めだそうです。
総合的に見ると、不織布立体型マスクがお勧めだと榎本先生は話されてます。
榎本先生のデータによると、マスクの値段と呼吸抵抗・花粉除去率との間にはなんら相関関係はなかったそうです。
井手先生によると、実際に人間様にマスクをかけてもらって、鼻に吸い取られた花粉を調べたら、マスクのタイプによる格差はなかったと言っております。
しかし、同じマスクでも人によって除去率が、10%〜70%や30%〜95%などと大きな差が見られた。
どのマスクも実験室では90%以上の花粉除去率を示していたのにどういうことかと調べたそうです。
結果、マスクのかけ方に問題があったわけです。マスク装着時に、鼻や頬などとの間にどうしても隙間ができその隙間から花粉が入り花粉除去率が下がってしまうらしい。
井手先生は、「マスクの形状や素材を気にするよりも、花粉がなるべく入らないような、自分の顔の形にあったマスクを選ぶことが大切。自分では顔とマスクの間に隙間があるかどうか分かりにくいので、ほかの人に見てもらいながら色々なマスクを試してみるべき」とアドバイスしてます。
特に、目元や鼻とマスクの上部の間、 頬とマスクのわきやゴムの部分との間に隙間ができやすい。
井手先生は、マスクの花粉除去率を調べた。 各種マスクに薄いガーゼを1枚当てると、どのマスクも除去率が10%〜30%も高まった。
それも各種マスク本体で吸収できなかった花粉が、当てガーゼの鼻孔と当たる部分に多く集まっていた。
井手先生は、「息のしやすさと兼ね合いにはなるが、マスクと顔の隙間に当てガーゼがあることで、マスク本来の性能に近づけることができる。マスク本体と取り替えるより、当てガーゼをたくさん購入し、頻繁に取り替えたほうが簡便だし、清潔を保つ上でも良い」と唱えてます。
ただ、患者さんの好みもあるので、違和感のない形がいいのか、除去率を優先するのか。いろいろ悩むところがあるともいう。