一般診療に基づく運動療法
運動負荷試験を実施しないで
運動処方箋を発行する場合

運動療法の実施に際して、運動負荷試験をしなくても医学的に問題がないと認められた場合、
運動処方の内容は基本的には日常生活活動レベルにおける運動強度を限度とした処方箋を
発行することになる。(それが安全ということ)。運動の安全性にはとくに注意し、運動時の自
覚的運動強度(ボルグ・スケール 11〜13、参照)や運動時の症状について注意する必要が
ある。


対象者がより積極的な運動療法を希望した場合には、運動負荷試験の実施と、運動療法処方箋の再発行が必要である。



1)有酸素運動

<運動の種類>

一般診療に基づく運動療法処方の運動の種類は、歩行に限る。

「歩くときの姿勢と靴の選び方」を図に示す。






<運動強度>

運動強度は年齢毎の予測最大心拍予備能(最大心拍数−安静時心拍数)の何パーセント(%HR reserve)という表現が理解しやすく、現場で多く使われている。
%HR reserve はカルボーネンの式から求めるのが一般的である。


{(220-年齢)-安静時心拍数}×運動強度(k)+安静時心拍数

たとえば、40歳で、安静時心拍数60拍/分の場合における50%HR reserve の心拍数は、

{(220−40)−60}×0.5(50%)+60=120

と算出する。




運動強度を、心拍数で表し測れない時、該当する心拍数のボルグの自覚的強度で代用する。

[参考:年代別目標心拍数とボルグ・スケール]



<運動量>



運動量にについては、少なくとも1週間の合計の運動時間が120分程度は必要である。


歩数で言えば、日常生活活動も含んで、1日総量で(毎日)8000歩以上必要であろう。


身体活動量が極めて低い場合には、日常生活活動も含めて1日約200kcalのエネルギー消費する身体活動を追加するのが、望ましい。




2) 補助運動

補助運動は、当初はストレッチングからはじめ、自覚的な強度で無理がなければ、
他の運動を付加していく、ストレッチングと自重を利用した補助運動および腰痛体操の例を資料に示す。